(株)秋田ケーブルテレビ様がミハル通信(株)のヘッドエンド装置と保守サポート導入

 
(株)秋田ケーブルテレビ様がミハル通信(株)のヘッドエンド装置と保守サポート導入
秋田ケーブルテレビ(CNA)はミハル通信の❶小型ヘッドエンド、❷CATV監視装置、❸保守サポートサービスを3月23日に導入して、ヘッドエンドの冗長性を強化した。
                  

月刊ニューメディア(2016年8月号掲載)

3U小型HE+CATV監視装置で長時間停波を予防さらに「保守サポート」導入で24時間保守体制を確立

秋田ケーブルテレビ(CNA)はミハル通信の❶小型ヘッドエンド、❷CATV監視装置、❸保守サポートサービスを3月23日に導入して、ヘッドエンドの冗長性を強化した。現在、ミハル通信は強靱な冗長構成を特長にしたヘッドエンドの提案に力を入れており、全国のケーブルテレビ事業者で導入が相次いでいる。今回の秋田ケーブルテレビでの導入は、その中でも導入規模が大きいことと、機器だけでなく保守サポートも併せて活用している点で、特に注目したい事例だ。地デジ、BSの停波予防だけでなく、多くのケーブルテレビで課題になっている多チャンネルサービス停波の予防も図った今回の導入の狙いと効果について、秋田ケーブルテレビの技術責任者、技術担当者を取材した。なお、本稿で紹介する機器とサービスはケーブル技術ショー2016のミハル通信ブースにも展示される。

取材・文:渡辺 元・本誌編集長

予備ユニットへ自動切替「停波を限りなくゼロに」

秋田ケーブルテレビのヘッドエンドセンターで稼働中のミハル通信製ヘッドエンド装置。
左:(株)秋田ケーブルテレビ 技術部部長 工藤清則氏
右:(株)秋田ケーブルテレビ 技術部技術課 鈴木歩氏

予備ユニットへの自動切替機能を持つ3Uサイズの小型ヘッドエンド「MDSRシリーズ」

予備ユニットへの自動切替機能を持つ3Uサイズの小型ヘッドエンド「MDSRシリーズ」。

ヘッドエンドからの出力信号と映像・音声の自動監視を行うCATV監視装置「MSV-CATVRA-JE」

ヘッドエンドからの出力信号と映像・音声の自動監視を行うCATV監視装置「MSV-CATVRA-JE」。

予備ユニットへ自動切替「停波を限りなくゼロに」

停波せず無人で瞬時に切替

秋田ケーブルテレビが導入したのは、ミハル通信の❶3Uサイズの小型ヘッドエンド「MDSRシリーズ」、❷CATV監視装置「MSV-CATVRA-JE」、❸保守サポートだ。秋田ケーブルテレビは2005年に他メーカーのヘッドエンドを導入したが、2014年から局舎の移転を開始したのに伴って、ミハル通信製品に入れ替えた。

❶の小型ヘッドエンド「MDSRシリーズ」は、3Uサイズという収容効率の高さだけでなく、ヘッドエンドのユニットが災害時やシステム障害時に故障した場合は、予備ユニットへ自動切替を行うことができる。各ユニットを監視するコントローラーが異常を検知すると、直ちに予備ユニットへ自動的に切り替えるという仕組みだ。

❷のCATV監視装置「MSV-CATVRA-JE」は、ヘッドエンドからの出力信号を常に自動監視する。出力信号の客観監視とともに、映像・音声の品質も監視して、異常を検知するとコントローラーと連携し、ヘッドエンドのユニットを予備ユニットへ自動切替し、アラームメールを秋田ケーブルテレビの担当者に自動送信する。

そして❸の保守サポートは、ヘッドエンド故障時などにおけるケーブルテレビ事業者からの遠隔サポート要請に対して、ミハル通信本社に常駐する技術者が24時間365日対応するサービスだ。

予備ユニットへ自動切替「停波を限りなくゼロに」

3U小型HE+CATV監視装置+保守サポートで長時間停波を防ぐ秋田ケーブルテレビの運用フロー

秋田ケーブルテレビはこの3種類の機器とサービスを導入したことによって、災害時やシステム障害時には、まず1次対応としてヘッドエンド本体やCATV監視装置が長時間の停波をさせることなく予備ユニットへの自動切替を行って復旧させて、次に2次対応としてCATV監視装置からアラームメールを受信した秋田ケーブルテレビの技術者が保守サポートの支援を受けながら故障したユニットを交換する、といった迅速な対応ができるようになった。

今回の導入でヘッドエンドの冗長性強化を実施した背景にあるのは、停波予防を重視する秋田ケーブルテレビの方針だ。同社の技術部部長・工藤清則氏はこう説明する。
「弊社は停波を限りなくゼロに近付けるというスタンスです。たとえ停止したとしても、できるだけ短時間で復旧させます。そのためミハル通信製品を導入して監視系を充実させ、非常時には予備ユニットに自動切替するやり方にしました。弊社は災害時などのBCP(事業継続計画)を策定しており、今回の導入はBCPの一環です」

課題だったTS信号入力の多チャンネルサービス停波も解決

ミハル通信製品を導入した大きな狙いの一つは、これまで予防できなかった多チャンネルの停波をなくすことだ。秋田ケーブルテレビはミハル通信とは別のメーカーの旧ヘッドエンドを使用していた2011年、JC-HITSのHOGを採用したあと、多チャンネルサービスの停波が発生した場合に短時間で復旧させることが難しくなった。

具体的にはこうだ。旧ヘッドエンドでは、地上波とBSはヘッドエンドの各チャンネルのユニットに全チャンネルのRF信号が入力され、その中から割り当てられた一つのチャンネルの信号を出力する仕組みになっていた。予備のユニットにも全チャンネルのRF信号が入力され、障害時に予備ユニットに切り替える際は、障害のあるユニットのチャンネルの信号だけを予備ユニットから出力する。それに対して旧ヘッドエンドの多チャンネルヘッドエンドでは、各チャンネルのユニットには割り当てられた一つのチャンネルのTS信号しか入力されていなかった。そして予備ユニットには平常時は信号が入力されていなかった。予備ユニットへの自動切り替え機能を持っていない旧ヘッドエンドでは、非常時に予備ユニットに切り替える際は、障害のあるチャンネルのユニットを外して予備ユニットに差し換えるという作業が必要で、長時間の停波を避けるのが困難だった。

そのため新規導入するヘッドエンドには、多チャンネルヘッドエンドも予備ユニットに自動切替する機能が必要だった。

「今回の新ヘッドエンド導入では、最終的にメーカー4社にプレゼンをしていただきました。その中で弊社が必要と考えた予備ユニットへの自動切替機能を持っているのは2社だけで、機能とコストの観点で検討した結果、ミハル通信製品に決定しました。ミハル通信のヘッドエンドには、技術面で他社製品より優れている部分がたくさんありました。小型ヘッドエンド『MDSRシリーズ』は、ユニットの故障時にはヘッドエンド自身が判断して予備機に切り替え、エンドユーザーがほとんど気付かないほどの短時間で復旧できます。旧ヘッドエンドでは多チャンネルユニットの障害時には、予備機への切替作業も手動でやらなければなりませんでした。現用ユニットのデータを予備ユニットに移行したり、現用ユニットと予備ユニットの物理的な繋ぎ替えをするといった手作業が必要でした。これもミハル通信製品はほぼ自動でやってくれます。全自動でできるのはミハル通信製品だけでした。また、停波はしていないけれど画質劣化やブラックアウトしているといった障害は、従来は実際に画面を見なければ気付きませんでしたが、CATV監視装置は画音監視機能で自動的に障害を判断できます。新ヘッドエンドの導入で、今まで以上にスピーディーに対応できるようになりました」(秋田ケーブルテレビの技術部技術課・鈴木歩氏)

秋田ケーブルテレビの工藤技術部長も、「ケーブルテレビ事業者は予備ユニットへの自動切替機能があるヘッドエンドを導入したほうが楽です。これがなければ技術担当者は夜中も落ち着いて寝られないですよ」と実感を込めて指摘する。

"技術者直通"の保守サポートリモートアクセス操作も可能

保守サポートを利用できることも、秋田ケーブルテレビがミハル通信のヘッドエンドを採用した決め手になった。保守サポートはミハル通信本社に技術担当者が常駐して、ケーブルテレビ事業者からの問い合わせに土日や休日も含めて24時間体制で対応する。電話やメールで対応するだけでなく、ミハル通信からケーブルテレビ事業者のヘッドエンドのサーバーにアクセスして、リモート操作によって復旧支援サポートを受けることもできる。秋田ケーブルテレビの旧ヘッドエンドにも保守サポートがあったが、電話を掛けるとメーカーのコールセンターにつながり、そこから技術担当者を呼び出すという仕組みだった。それに対してミハル通信の保守サポートは、夜間でも技術者に直接つながるのが特長だ。

「今のところ新ヘッドエンドの導入後に停波したことはありませんが、操作方法などの質問で、今まで3回保守サポートにお電話をしました。3回ともすべて電話に直接技術担当者が出て、すぐにその場で解決していただきました。話が非常に早く、とても助かりました」(秋田ケーブルテレビの鈴木氏)

ミハル通信の技術者によるリモートアクセス中は、ケーブルテレビ事業者側でも操作されている画面を見られるので安心できる。リモートアクセスは障害時の対応だけでなく、平常時でもヘッドエンドの操作方法にわからないところが出た場合に便利だ。新ヘッドエンドに対する秋田ケーブルテレビの技術担当者の信頼感は大きい。

「ミハル通信の小型ヘッドエンド『MDSRシリーズ』、CATV監視装置、保守サポートの導入によって、長時間の停波が起こらないシステムを実現できました。弊社の経営陣も非常に満足していると思います」(鈴木氏)。

月刊ニューメディア(2016年8月号掲載)

  
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